投稿者:
Onaka
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No. 24 味噌(Miso, Soy bean paste)
味噌汁に欠かせない味噌です。最近は和食の広がりとともに海外でも注目されています。蒸した大豆と麹、、塩を混ぜておいておくだけで簡単に作れます。ただし、熟成が必要なため、最低でも半年かかります。
出来上がった手作り味噌は深い味わいと、うっとりとするほどの香りで、市販のものとは比べ物にならない美味さです。
作り方
- 大豆を洗い、一晩給水させる。
- 大豆を大鍋で煮る。3〜6時間くらい。はかりに煮豆一粒を乗せ、指で押してみて、500 g程度の力でつぶれたらOK
- 大豆を煮ている間に、米麹と塩3.4 kgを混ぜ、塩切り麹を作る
- 煮えた大豆をジップロックに入れ、ビール瓶で外から大豆をつぶす。熱いうちにしないとつぶしにくくなる。
- 塩0.4 kgと大豆の煮汁2.7 Lを混ぜ種水を作る。
- つぶした大豆、塩切り麹、種水を混ぜ仕込み味噌をつくる。
- 桶に仕込む。仕込み味噌を両手で握れるくらいの大きさにまとめ、桶の底にたたきつけるようにして入れていく(空気が入らないようにするためです)。
- 表面を平らにし、ラップをして平たい皿などで覆い、重しをして、ふたをして密閉する。桶の縁はふたを閉める前にエタノールスプレーで殺菌して、塩(5 g)を振り、雑菌の混入を防ぐ。
- 1ヶ月程経つと、汁が上がってくるので、おたまで汲みだす。
- 4ヶ月経ったら、しゃもじ等で混ぜる。
- だいたい半年から、色が濃くなり香りが出てくる。一年くらい経つと、大変良い芳香が漂うようになるので食べ頃です。特に賞味期限はありません。時間とともに熟成が進み、深い味わいとなります。
煮大豆を熱いうちに潰します | ||
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樽に詰め終えた味噌 |
解説
- 味噌の起源は中国で、紀元前1000年頃に日本へ伝わり、紀元前600年頃には現在の味噌が誕生しています。
- 味噌は二段階の発酵過程から造られます。一段目は蒸米を麹菌Aspergillus oryzaeによって糖化させ麹を作る段階です。詳しくは麹のページをどうぞ。
- 2段階目は様々な環境中の微生物と麹に含まれている酵素によって、タンパク質、デンプンをペプチド、アミノ酸、糖へと分解します。その際、麹に含まれるグルタミナーゼによってグルタミンをグルタミン酸に変換することによってうまみが増します。また、乳酸菌の影響でpHが下がり、酵母が増殖が促され、エタノールが産生し、有機酸と反応し、味噌独特の風味となります。また、半年を過ぎる頃からアミノ酸と還元糖がメイラード反応を起こし味噌の色が濃く、より風味も強くなります。
- 2段階目の発酵時には耐塩性酵母Zygosaccharomyces rouxii、耐塩性乳酸菌Tetragenococcus halophilis、バクテリアのEnterococcus faeciumやStaphylococcus gallinarumなどが関わってます。
- 味噌には様々な健康効果が知られています。まさにスーパーフードの筆頭ともいうべき効果です
- 日本人を対象としたコフォート研究では大豆発酵食品、特に納豆、味噌の摂取量が多いほど死亡率が低いことが明らかになっています。また、味噌の塩分は高血圧の発症には関連しないことも明らかとなっています。
- 味噌汁摂取量が高いほど逆流性食道炎の発症が低いことも明らかになっています。
- マウスを使った動物実験では腸管粘膜の保護効果が認められ、なんと大腸がんの退縮も観察されています!また、高塩分食餌に味噌を加えると、味噌無しに比べて脳や腎臓の障害への抑制効果が認められています。
- 味噌にはオリゴペプチドやスペルミジン、イソフラボン、カリウムなどが豊富に含まれ、これらが健康効果をもたらしています。
- Enterococcus faeciumは抗菌ペプチドであるバクテリオシンを作ることが知られており、味噌の機能性にも関与しています。
- 発酵によって造り出される様々なオリゴ糖は腸内環境を整える働きをします。
- 熟成中に上がってくる汁がたまり醤油です。ペットボトルに入れて保存し、醤油の代わりに料理に使えます。
- 味噌は大豆と米麹から造られるものがほとんどですが、米麹の代わりに麦麹を用いたものが麦味噌になります。
熟成中に上に溜まった汁はたまり醤油(味噌たまり)です |
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参考文献
Joanne G. Allwood, Lara T. Wakeling, David C. Bean. Fermentation and the microbial community of Japanese koji and miso: A review. CONCISE REVIEWS & HYPOTHESES IN FOOD SCIENCE (2021) 86, 2194-2207
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