投稿者:
Onaka
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第11回 キムチ(kimchi)
自家製キムチはヤクルトに匹敵する乳酸菌が入っています! |
今回は皆さんご存知、キムチです。最近はスーパーでもいろんな種類のキムチが手軽に買えるようになりましたが、自家製キムチは乳酸菌が生きているので、風味が別格で、一度作ると市販のキムチに戻れません。工程は少し面倒ですが作る価値大です!
材料
- 白菜 大きいものを半分、小さければ一個
- 塩水 100 g/800 ml
キムチ糊用
- コーンスターチもしくは片栗粉、小麦粉 25 g
- 粉末煮干し粉 大さじ5
- 昆布 5-10センチ
ヤンニョム用
- 韓国産唐辛子 粗挽き 細挽き 合わせて60 g
- 塩麹(あれば) 大さじ2
- 大根 400 g
- 人参 100 g
- 青ネギ ひと束
- ニラ ひと束(野菜の量はお好みで調整)
- 生姜 1かけ
- ニンニク 1~2かけ
- りんご 半分
- ドライプルーン(砂糖漬け) 8個
- 蜂蜜 大さじ1
- イカの塩辛 100 g
- ナンプラー(あれば) 大さじ1~2
- 塩 適宜
作り方
下漬をする
- 白菜一個を4等分し、芯に切り込みを入れて、半日から1日、天日干しする(天日干しにより白菜の甘みが増す)
- 塩水を800 ml作る
- 白菜と塩水を大きなビニール袋に入れ口を縛り、重石を置いて一晩下漬けをする。特に芯の硬い部分はしっかり重しをする
- 一晩漬けたら、葉と茎の部分を少し食べてみて、ちょうど良い塩加減であれば、そのまま風乾させ水気を切る。塩気が強ければ水洗いしてから乾かす。
キムチ糊を作る
- キムチ糊は水300 mlを沸かし、粉末煮干し粉と昆布を入れ、しばらく煮た後に漉して、出汁を取る。(濃い出汁を取った方が旨みが濃厚です)
- 片栗粉または小麦粉25 gを少量の水で溶いた後に出汁に加えて火にかける。
- ダマにならないようによく混ぜる。良く混ざって粉が半透明になったら、火を止め冷ます。キムチ糊の完成
キムチ糊、弱火で焦がさないように気をつけて! とろみが付いて半透明になったら火を止める。 ヤンニョムの材料をここに加えるので、大きな鍋で作ると良い。 |
ヤンニョムを作る
- 大根、人参は千切り、ニラと青ネギは4センチの長さに切り、塩を振ってしばらく置き、水分を出してしんなりさせる。
- キムチ糊に唐辛子、すり下ろした生姜とニンニク、水気を絞った大根、人参、ネギ、ニラ、スライスしたリンゴ、細かく刻んだドライプルーン、蜂蜜、いかの塩辛、塩麹、ナンプラーを加えてよく混ぜる。味見をして塩が足りなければ塩を足す。ヤンニョムだけで食べても酒のつまみに最高ですが、食べ過ぎてなくさないように注意です。
ヤンニョム(藥念)このままでも美味しい |
本漬をする
- まな板かバットの上で、白菜を広げ、葉の一枚ずつめくってはヤンニョムを丁寧に塗る。特に根元の部分にも入念に塗る。ヤンニョムは全部塗り切る。
- 塗り終わったら、白菜の葉先の方を折って丸め、外側の葉を引っ張り出して側面を包み、ラグビーボールのように整形する。
- 白菜一塊ごとにビニール袋に詰め、空気が入らないようにして口を縛る。
- まとめて厚手のビニール(ジップロック)に入れて口を縛る。匂いが漏れを避けるため、密封することを忘れずに。
- 常温で2~3日くらい置き、味見をして美味しかったら、冷蔵庫へ移す。常温に置くと、どんどん酸っぱくなってきます。直ぐにも食べられますが、冷蔵庫で3~4日寝かしてからの方が味がなじみ美味しく感じます。
一枚一枚、白菜の葉を広げて、丁寧にヤンニョムを塗っていく 内側の葉から塗り始め、最後に外側の葉で全体をまとめて覆う |
しっかり密封しておかないと部屋中キムチになります |
作り方はこちらのHPを参考に、独自にアレンジしたオリジナルレシピになっています。
https://marron-dietrecipe.com/tsukemono/tsukemono_hakusaikimuchi.html
解説
- キムチは野菜に付いている乳酸菌によって乳酸発酵します。発酵初期から中期はLeuconostoc mesenteroidesが主ですが、さらに発酵が進むと、より乳酸耐性の高いLactobacillus brevisが主になり、さらに乳酸を作り酸っぱくなります。ですので、Leuconostocが優勢なうちに食べるのがお薦めです(といってもいつまで優勢かは食べてみないとわからないですが)。
- ちなみに、上記のレシピで私が作ったキムチに含まれる菌を同定したところ、Leuconostoc mesenteroides、Lactobacillus sakeiが主要菌群でした。
- キムチには多くの乳酸菌が入っています。今回の自家製キムチをカウントしたところ、1 mlあたり610,000,000個(6億1千万個)の乳酸菌が入っていました。これはヤクルト一本(70 mlに400億個)に匹敵する乳酸菌の数です。生きた乳酸菌を取り込むのに自家製キムチは大変効果的であることがわかります。
- キムチの効能は韓国人研究者を中心にかなり調べられています。アトピー性皮膚炎の改善、乾癬の治療、抗癌および抗炎症活性、抗酸化作用、アンチウイルス活性、抗肥満効果、高コレステロール血症、肝障害の軽減、脂肪生成の抑制、腸の炎症の改善等が報告されていますが(ここまで効果があるとは凄すぎます!)、いずれも人を対象とした研究ではなく、マウスなどを使っているため、ヒトに対して有効かはわかりません。(参考文献 Unraveling microbial fermentation features in kimchi: from classical to meta-omics approaches, Appl Microbiol Biotechnol. 2020 104(18):7731-7744)
- 本場韓国ではオキアミ(小エビ)の塩辛を使いますが、日本では入手が難しいのでイカの塩辛を加えました。魚介の塩辛を加えることにより、魚介の蛋白質成分由来のアミノ酸の旨みが加わります。通常、魚介の塩辛はStaphyrococcusやMicrococcusなどの食品変敗の原因菌が含まれていますが、キムチの乳酸によって速やかに死滅します。このため、魚介類を加えたキムチでも保存が利き、食中毒も起きないのです。
- キムチ糊を加えるのが、キムチ作りのミソで、他の漬け物とは異なるユニークな特徴です。キムチ糊はでんぷん質ですので、これを乳酸菌が食べることにより、益々盛んに発酵するようになります。
- キムチの甘みは加える果物から来ています。韓国では梨を加えるのが定番ですが、日本の冬には手に入りにくいので、リンゴとプルーンを代わりに使いました。柿などを加えても良いでしょう。
- 唐辛子は韓国産唐辛子を使いましょう、色鮮やかで辛くありません。私はカルディで購入しました。国産唐辛子では辛すぎて色づきも良くないので、雰囲気が出ません。
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