学習院大学へ移りました

複合培養の論文がPLoS Oneより公開されました

浅水助教を中心に進めていた複合培養に関する論文が無事公開されました。

PLoS One. 2015 Nov 6;10(11):e0142372. doi: 10.1371/journal.pone.0142372. eCollection 2015.
Killing of Mycolic Acid-Containing Bacteria Aborted Induction of Antibiotic Production by Streptomyces in Combined-Culture.

Asamizu S, Ozaki T, Teramoto K, Satoh K, Onaka H.

この論文は放線菌とミコール酸含有細菌との複合培養の際にミコール酸含有細菌を殺した状態で加えたら、放線菌はは果たして応答するのかどうかを調べたものです。
どのように菌を殺すかというのが問題になるのですが、本論文ではホルマリン固定と放射線殺菌という二種類の殺菌法を採用しており、いずれの場合も溶菌させずに細胞形態を保ったまま殺すことに成功しました。このようにして調整した死菌体を添加して複合培養を行ったところ、二次代謝の誘導は認められませんでした。電顕でその様子を観察すると二つの菌は生菌同士だと接着して混じり合っていたのですが、死菌では接着が見られず、接着することが二次代謝の応答に重要ではないかと結論づけています。
今回の実験で目も耳も見えない放線菌は近づいてきた菌の生死を見分けていることが明らかになりました。その分子レベルでのメカニズムは不明ですが、今後はその部分にフォーカスして研究を進める予定です。